長く立っていると腰が痛くなる。
実は多くの方が抱える悩みです。
実際に患者さんに相談を受けることも多いです。
「少し休めば治る」と思っても改善しない
この記事では、立っていると痛くなる腰痛の主な原因を解説し
病院に行くべきサインや自宅で出来る簡単な対処法までを分かりやすくお伝えします。
なぜ立っていると腰が痛くなるのか
立っている姿勢で痛みが出るのは、腰の構造に原因があることが多いです。
考えられる代表的な3つの症例を解説します。
脊柱管狭窄症
特徴
立ちっぱなしや歩行で痛み、しびれが悪化し、前かがみになったり座ったりすると楽になる「間欠性跛行」が出現する
脊柱管が狭くなる原因は様々ですが、多くは加齢に伴う骨や靭帯の変性・変形が原因と言われています。
特に腰が反っている方(反り腰)に多いです。
様々な理由が考察されますが筋力不足や不良姿勢によるものであることが多いとされています。
先天的になりやすい方もいる報告がされています。
メカニズム
脊柱管の変性により神経の通り道が狭くなり、立つことで圧迫が強まる。

腰椎椎間板ヘルニア
特徴
20~40代に多く、前かがみや急な動作、過重をかけた際に悪化し症状が出現しやすい。
背骨の骨と骨の間にあるクッションの役割をする椎間板の一部が飛び出す状態です。
飛び出した椎間板が、背骨の中を通る神経を圧迫することで、手足の痛みやしびれといった症状を引き起こします。
お尻や足にしびれが出ることも多くあります。(腰の神経が臀部~足に走行するため)
また症状こそ出ていなくてもヘルニアが潜んでいる場合もあります。
MRIで専門的な検査を行うと診断上ヘルニアと言われることもあります。
メカニズム
椎間板(クッション)が飛び出し、神経を圧迫する。

関節性腰痛(椎間関節・仙腸関節)
特徴
腰椎の背中側にある椎間関節、骨盤の仙腸関節が炎症を起こしたり、動きが悪くなることによって生じる腰痛です。
背骨を反らす、捻るといった動作で痛みが出やすく、片側の腰に痛みが感じられることが多いのが特徴です。
メカニズム
腰椎の後ろ側にある関節に負担がかかり炎症を起こしている状態。

「危険な腰痛」のサイン
ただの腰痛ではない、すぐに専門医(整形外科)の診察が必要な「レッドフラッグ(危険信号)」となる症状を伝えます。
重篤な病が隠されているかもしれません
■足のしびれや麻痺(力が入らない、つまずきやすい)がある
■排尿・排便のコントロールが難しい(尿が出にくい、漏れる)
■安静にしていても痛みが引かない、または夜中に痛みで目が覚める
■発熱、倦怠感、急激な体重減少など、腰痛以外の全身症状がある
■痛みがどんどん強くなり、日常生活が送れない
受診を迷う方へ
何とかなるかなと思い放っておいてもこれらの症状は、重篤な病気や進行性の神経障害の可能性があるため、自己判断せずに整形外科を受診することが最重要になります。
特に、痛みがどんどん強くなる場合には、要注意です。
痛みを和らげるセルフケア
病院に行くほどではない、あるいは受診後の痛みの緩和のために、自宅でできることを紹介します。
※痛みの変化がなければ、病院の診察をお勧めいたします。
応急処置
応急としては、体勢を気を付けることです。
楽になる姿勢を見つける。
どの体制でも痛みが出るのは、レッドフラックの可能性があります。
立位がつらい場合、少し前かがみになったり、片足を台に乗せたりして、腰の反りを減らすと楽になることが多いです
予防とケア:日常の姿勢改善
筋力トレーニングを行う
インナーマッスル(腹筋・背筋)の意識をする
骨盤を少し立てるように意識し、猫背や反り腰にならないよう注意する。
ストレッチの紹介
膝抱え、股関節ストレッチ 痛みが落ち着いているときに、腰回りの筋肉を緩める簡単なストレッチ
20秒ほど交互に2,3セット行う

腰を反らす筋肉の緊張を緩める(柔らかくする)
■大腿四頭筋(大腿直筋)
■大腿筋膜張筋
■腸腰筋
■腰方形筋
セルフストレッチやテニスボールを使ったやり方もありますが
しっかりやりたい方には「マッサージガン」もおすすめです。
まとめ
立位での腰痛は、放置すると悪化しやすいものです。
「脊柱管狭窄症」「椎間板ヘルニア」「関節性腰痛」などの傷病名が付くほどのものは進行していると判断できます。
またご自身ではまだ大丈夫と判断指定されていても重要な症状が隠れているかもしれません
「危険なサイン」に当てはまる場合は、迷わず整形外科を受診しましょう。

正しい知識と適切なケアで、痛みのない快適な毎日を取り戻すことは可能です。この記事がその一歩になれば幸いです。


コメント