キャリアについて経験と学び

就職・転職

自身のキャリアについて経験と学びをまとめていきます。

■思うように結果が出せず申し訳ないと思っている先生
■臨床経験が浅い先生
■これから臨床を経験していく先生
■治療の軸が定まっておらず技術に不安のある先生
■先輩の意見を見たい先生

私は柔道整復師として国家資格を取得してから8年が経過し、臨床経験は延べ35,000件ほどになります。

学生時代から現場には携わっていたので、治療業界に関わって10年以上が経ちました。

これだけの年数を重ねても、「今の施術が完璧だ」とは言えません。

実際に今でも
100人の患者様を診れば3~4人は
「この症状は何だろう?」
「原因が1~2回ではわからない」
「どうして痛みが取れないんだろう?」と悩むことがあります。

治療や医療には絶対というのは、ないし決して単純なものではありません。
「こうだろう」と目星をつけても、良く見ていくと内容や結果が違うこともあります。


知識や経験、あらゆる治療法を駆使しても、思うように結果を出せないことがあります。

この1年だけでも、2〜3名の患者様に対しては期待に応えることができませんでした。
当然、申し訳ない気持ちになります。

ですが、その悔しさや悩みこそが自分を成長させてくれているのだと思います。

8年間の中で、通っていただいたにも関わらず思うような結果を出せず、
クレームをもらったこともあります。


今でも印象に残っているのが患者さんが2人います

1人目は1年目の頃に施術をした側弯症の患者様です。

治療現場に入ったばかりで、右も左も分からない状態でした。

知識も技術も浅く、患者様が抱えていた「希望」に応えられませんでした。

ここなら良くなるかもと思い来院されたのに、結果的には期待を裏切ってしまいました。

今振り返ると、「もし当時の自分に今の知識と技術があれば」
もっと丁寧に、もっと誠実に適切な対応できたはずと考えます。
通院を続けていただき、信頼関係を築くこともできたのかなとも思います。

この経験は、今でも忘れられない“原点”のひとつです。

2人目は、坐骨神経痛の患者様です

かなり症状のきつい中で毎日のように来院していただきました。
良くするまでに半年以上かかったと思います。

知識、技術もそうですが対応する力が低かったと思います
こんなに通院されているのに良くできずに毎日申し訳ない気持ちでいっぱいでした

未熟な自分を信じてきてくださり本当に良く通ってくださりました。

柔道整復師の国家試験に合格したからといって、実力があるわけではありません。

私自身、免許を取った直後の1年目は、現場で通用しませんでした。

教科書に載っている知識だけでは、患者様の痛みは取れないです。
現実の症状はかなり複雑です。

また、整骨院業界の多くは「慢性的な疾患」を扱うことが多いのですが
これは柔道整復師の本来の業務範囲(外傷中心)とは少し違う部分でもあります。

つまり、学校で学んだことだけでは、実際の現場には対応しきれないのです。

「治療」とは、試験勉強で得た知識をそのまま使うことではなく、
患者様の“今の状態”を見極め、そこから導き出す「考える力」が必要だと痛感しました。

そのためには、経験としっかりと教えてくれる先生が必要だと思いました。

私が1年目に勤めた整骨院は、典型的な「マニュアル治療型」の院でした。

決められたルートを押すだけの“もみもみ整骨院”
誰にでも同じように“バキバキ矯正”をするだけの院。

当然、症状が改善しない患者様も多く、治療家としての無力さとやりがいのなさを痛感しました。

さらに問題だったのは、学ぶ環境がほとんどなかったことです。

院内では決められた技術以外は使うことも許されずとにかく時間内に終わらせることが求められていました。

治療の本質を教えてくれる先輩や上司もいませんでした。

今思えば、この環境に居たら知らないことも多いから教えられないよなと思います。

この経験から痛感したのは、
「どんな職場に入るかで治療家としての将来は大きく変わる」
「誰から教わるのかで未来が大きく変わる」
ということです。

これから治療家を目指す学生や若手の先生には、
【教えてもらえる環境】を大切にしてほしいと思います。

初めはただ稼げる場所よりも、“成長できる場所”を選ぶこと。
治せる知識、技術を身に着ければ稼ぐ力は後からでもできると考えています。
それが、治療家としての未来を左右します。

1年目で現場の厳しさを知り、私はその整骨院を退職しました。

そして2社目に転職したことが、治療家人生の大きな転機となりました。

その職場では、とにかく「学び」「経験」に時間を惜しみませんでした。

朝から夜まで患者様を診て、終業後も治療練習、休みの日も勉強
質問があればすぐ師匠に聞き、夜中の1時、2時まで練習に付き合ってもらいました。

それだけでなく、外部のセミナーや学会にも積極的に参加しました。
全国の治療家の先生方の考えや技術を学び、自分の臨床に落とし込みさらに考えていくこと
今のレベルで臨床ができるのはこのころのおかげだと思っています。

時間外から時間外まで治療漬けの毎日でしたが、
嫌だとも思わずそれが心から楽しかったです。
「治す力を身につけたい」という思いだけで走り続けていました。

この時期に学んだのは、「結果が出る治療には理由がある」ということ。
自身の取り組んできた治療の確かさに気が付きました。

「結果が出ないとき」こそ考える力が試される

経験を重ねるほどに気づくのは、治療は理論だけでは成り立たないということです。

同じ腰痛でも、痛みの原因が筋肉由来なのか、関節なのか、神経の問題なのかあるいは
姿勢・呼吸・ストレス・内臓・過去の外傷など、複数の要素が絡んでいる場合もあります。

だからこそ、「なぜこの人は良くならないのか?」を常に考え続ける必要があります。
治療家にとって大切なのは、正解を知っていることではなく、考え続けること。

「この人を良くするにはどうすればいいか?」を諦めずに考える姿勢こそが大切と考えています。また向き合う姿勢がお互いの信頼につながると感じています。

患者様が改善しなかったとき、治療家は2つの選択を迫られます。

「患者様のせいにするか」
「自分を見つめ直すか」


私は後者でありたいと思っています。
患者さんに伝えられていない自分の責任でもあります。

どんな結果であっても、必ず原因がある。
それを突き止める努力を続けることが、真の治療家の姿勢だと思っています。

これから柔道整復師や整体師として歩み始める方へ伝えたいのは、
「焦らなくていい」ということです。

どんな偉大な治療家も初めからなんでも出来たわけではないということです。
近道は、ほとんどないと思います。遠回りしないようにだけ気を付けてください

私も失敗を繰り返し上手にいかずに申し訳ない気持ちと悔しい思いを何度もしてきました。
ですが、その経験が今の自分を作ってくれました。
治療は積み重ねです。

毎日の臨床、毎回の反省、1人の患者様への対応
そのすべてが、あなたの力になります。

そして何よりも大切なのは、
「目の前の患者さんを良くしたい」という純粋な気持ちを忘れないこと。
その気持ちさえあれば、きっと成長し続けられます。

結果が出ないとき、患者様に対して誤魔化すことは簡単です。
なぜなら、患者様の身体を預かるということは、信頼を預かることだからです。
長い目で見たらその場しのぎでは必ずうまくいきません

「治すこと」はゴールではなく、「向き合うこと」がスタートです。
症状だけでなく、その人の生活、考え方、背景に寄り添うことで、
ようやく“本当の治療”が始まるのだと思います。

治療家として完璧になることは難しいし世の中にそんな先生は何人いるのでしょうか?

それでも、1人ひとりに真摯に向き合うことで、確実に次の一歩が見えてくる。
それが、8年間で私が学んだ一番大きなことです。

テクニックや小手先に頼りがちですが本質を見失わないでほしいと思います。

でも、少しずつでも確実に、昨日よりも良い治療を提供できるように努力しています。

TAKE先生
TAKE先生

このブログでは、自身の経験は惜しみなく公開します。
業界がよくなることを願っています。

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